現在、医薬品の供給不足が目立っていますが、以前記載した日本骨粗鬆学会などが出した「エルデカルシトールおよびアルファカルシドール供給不足に伴う骨粗鬆症患者への対応に関する提言」以外にも、「ビソプロロールフマル酸塩錠」と「パクリタキセル(アルブミン懸濁型)注射用(アブラキサン)」、「デキサメタゾン」の供給不足に関して学会からの声明がでていましたので、ご紹介します。
今後同様の提言や声明などがあれば追記したいと思います。
ビタミンD3製剤の供給不足に関して
日本骨代謝学会および日本骨粗鬆症学会から提言が出ています。以下をご覧ください。
エルデカルシトールおよびア ルファカルシドール供給不足に伴う骨粗鬆症患者への対応に関する提言 2021年7月19日 日本骨代謝学会 日本骨粗鬆学会
210719_1.pdf (josteo.com)
その後、日本骨代謝学会などより、出荷の見通しの連絡がでました。
シェア最大の製薬会社である共和薬品工業からのアルファカルシドールの出荷が、2021 年 9 月中旬には再開される予定となりました。これにより、2021年 9 月中には共和薬品工業からのアルファカルシドールの出荷量は前年比で約 50%に、2021 年 10 月中には 60%以上に回復する見通しとなっているとのことです。
アルファカルシドール供給不足に伴う副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症、およびくる病・骨軟化症患者への対応について(第二報) 日本骨代謝学会 など
news_210831.pdf (umin.jp)
ビソプロロールフマル酸塩の供給不足に関して
ビソプロロール錠の供給が、ジェネリック品の諸事情に伴い不足する事態となっています。
そんな中、8月16日に日本心不全学会より「ビソプロロール0.625mg錠供給不足に伴う対応に関する日本心不全学会からの提言」が出ました。
左室駆出率が低下した心不全薬の標準治療薬となっており、投与継続が困難な場合、以下を参考にカルベジロール錠へ切り替える等の提案を出しています。
詳細はこちらをご覧ください。
心不全診療に関わる医療機関の皆様へ
ビソプロロール0.625㎎錠供給不足に伴う対応に関する日本心不全学会からの提言
topics20210816.pdf (asas.or.jp)
アブラキサンの供給不足に関して
製造工程に関する定期的な検証において再評価の必要性が生じたため、製造停止となっており、現時点で製造工程における検証終了及び製造再開の目途の見通しが難しく、10月以降安定供給に支障が生じることが予想されています。
治癒切除不能な膵癌に対しては必要度の極めて高い薬剤とされており、優先的に投与できるように厚労省と日本臨床腫瘍学会等から文書が出ています。
パクリタキセル(アルブミン懸濁型)注射剤 が安定供給されるまでの必要な患者への優先的な使用等の対応への協力について(周知依頼) 厚生労働省医政局経済課 事務連絡 令和3年8月26日
パクリタキセル(アルブミン懸濁型)注射剤が安定供給されるまでの必要な患者への優先的な使用等の対応への協力について(周知依頼)(厚生労働省医政局経済課:R3.8.26) (ajha.or.jp)
デキサメタゾンの供給に関して
後発品の供給不足とは原因は異なりますが、新型コロナ感染症で使用されるデキサメタゾンも品薄になりつつあります。
厚労省より、必要とされている患者に使用できるよう買い込みを控える、適正使用のお願い、デキサメタゾン製剤だけでなく、プレドニゾロン系製剤(プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン)などの使用についても考慮するといった内容の事務連絡が出ています。
デキサメタゾン製剤の安定供給について(周知依頼)厚生労働省医政局経済課 事務連絡 令和3年8月27日
日薬業発第173号_デキサメタゾン製剤の安定供給について.pdf (m-p-a.jp)
後発品の供給状況について
ご参考までですが、後発医薬品の出荷調整等の情報のあるものがこちらに掲載されています。(日本ジェネリック製薬協会の会員の会社のみ)
日本ジェネリック製薬協会ホームページ 製品の供給状況について
日本ジェネリック製薬協会|製品の供給状況について (jga.gr.jp)
後発医薬品の薬価収載についてルールを厳格化
そんな中、製造販売業者が薬価収載から5年以内に供給不足を起こした場合、業者は自発的に収載を2回見送るという通知が出ました。
後発医薬品の薬価基準への収載等について 厚生労働省 医政局経済課長 令和3年7月19日 医政経発0819第1号号
000816424.pdf (mhlw.go.jp)
分かりやすく記載のあるサイトがありましたので、ご紹介します。
日経DI Onlineホームページ 後発品企業への「念書ルール」に疑問
後発品企業への「念書ルール」に疑問:DI Online (nikkeibp.co.jp)
医薬品の供給不足に対しての学会や厚労省の提言や事務連絡をまとめました。