活性型ビタミンD3の代替となるもの

骨粗鬆症などの治療を使われる活性型ビタミンD製剤が出荷調整とのことで、対応策について骨代謝学会などから提言が出ました。その中で対応の一つとして、天然型ビタミンDが挙げられていましたが、恥ずかしながら「天然型」と「活性型」の違いを忘れてしまっていまいた。また天然型ビタミンDとはどんな商品があるのかも分からなかったので調べました。

活性型ビタミンD3製剤の出荷調整の経緯

活性型ビタミンD製剤の出荷調整については、21年7月沢井製薬が製造上のトラブルにより、一時的にエルデカルシトールカプセルの後発品(0.5㎍、0.75㎍)製造ができなくなり、十分な在庫量が保てない状況となっているため出荷調整を行うこと公表していました。

この2つが品薄となった影響で、他社が発売するエルデカルシトールの需給がひっ迫。この影響で日医工がエルデカルシトールの後発医薬品、中外製薬が先発医薬品のエディロールとアルファロール、ロカルトロールの出荷調整を行っていました。その後、さらに出荷調整が拡大し、帝人ファーマが先発品のワンアルファ、日本ジェネリックがアルファカルシドールやカルシトリオールの後発品、共創未来ファーマがカルシトリオールの後発品の出荷調整を公表しています。

骨粗鬆症へのアルファカルシドール使用は避けて

日経DI Onlone 2021年7月20日  骨粗鬆症へのアルファカルシドール使用は避けて:DI Online (nikkeibp.co.jp)

そこで日本骨代謝学会などから出された提言は以下の通りです。

1) エルデカルシトールをアルファカルシドールに変更することは避ける。
2) 新規に骨粗鬆症治療を開始する場合は、エルデカルシトールやアルファカルシドールは避ける。
3)アルファカルシドールもしくはエルデカルシトールを他の薬剤と併用している場合は、必要性を検討し、短期間休薬できるようであれば一旦休薬する。
4) デノスマブと併用の場合は、可能であればエルデカルシトールやアルファカルシドールをデノタスに変更する。
5)エルデカルシトールやアルファカルシドールを単剤で処方の場合は、他の薬剤への変更を検討する。なお、骨粗鬆症治療は中断しないことが望ましい。
6)ビタミン D 不足・欠乏に対しては、サプリメントとして天然型ビタミン D の補充を考慮する。
7)アルファカルシドールもしくはエルデカルシトールを処方する場合は、できる限り長期処方を避ける(30日処方までとする)

エルカルシドールおよびアルファカルシドール供給不足に伴う骨粗鬆患者への対応に関する日本骨代謝学会、日本骨粗鬆学会による提言

2021年7月19日 日本骨代謝学会・日本骨粗鬆学会

上記の6に天然型ビタミンDの補充記載があります。次にビタミンDについてです。

天然型ビタミンDと活性型ビタミンDの違い

天然型ビタミンDは食事として摂取されるものと皮膚で紫外線を浴びて合成されるものとがあります。ビタミンDの供給源となる食品は魚類とキノコ類に限られています。その後肝臓、腎臓で代謝されて活性型になります。現在医薬品としてわれわれが処方しているのはこの活性型ビタミンDです。

活性型ビタミンDの作用

活性型ビタミンDは、腸管からのCaの吸収を高め、骨の石灰化を促進して骨密度を増加させる(新陳代謝を高める)働きを有しています。その結果、骨折の予防・抑制へとつながるのです。 ビタミンDの骨以外の作用についてはいろいろな研究がなされています。癌、炎症、免疫、心血管系、皮膚、筋肉などへの作用が報告されています。皮膚科領域では乾癬(かんせん)の治療薬として用いられていますし、また筋肉へ作用し、転倒を抑制するとされています。

ビタミンDについてー特に骨粗鬆症薬としての活性型ビタミンD製剤について

中国中央病院ホームページ ビタミンDについて-特に骨粗鬆症薬としての活性型ビタミンD製剤について- | 公立学校共済組合 中国中央病院 (kouritu-cch.jp)

天然型と活性型の違いは分かりましたが、では天然型ビタミンDの食べ物ではなくサプリメントやOTCはどのようなものがあるのでしょうか。

「天然型ビタミン」と商品を検索しても、具体的な成分名でないため商品がうまく検索できません。

天然型ビタミンDとは?

天然型ビタミンDにはビタミンD1~D7が存在しています。
その中で強力な生理活性を有するビタミンDはD(エルゴカルシフェロール)とD(コレカルシフェロール)です。

天然型ビタミンDと活性型ビタミンDの違いについて教えてください。(デノタス関連)

第一三共ホームページ 天然型ビタミンDと活性型ビタミンDの違いについて教えてください。(デノタス関連)| よくある質問(Q&A) | 第一三共「Medical Library」 (medicallibrary-dsc.info)

ということで、成分に「エルゴカルシフェロール」か「コレカルシフェロール」の入っている商品が天然型ビタミンDとなることが分かりました。

これは、デノタスチュアブル配合錠のよくある質問より引用しましたが、デノタスチュアブル配合錠には、コレカルシフェロールが配合されており、添付文書にも「カルシウム/天然型ビタミンD3/マグネシウム配合剤」と記載があります。

天然型ビタミンDの入ったOTCは?

成分が分かったので、あとは成分名で検索すれば見つけることができます。

色々なサイトで検索はできますが、Pmdaの一般用医薬品の検索サイトで、成分名の部分に「コレカルシフェロール」や「エルゴカルシフェロール」を入れると調べることができます。

Pmda 一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索

一般用医薬品・要指導医薬品 添付文書等情報検索 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 (pmda.go.jp)

サプリメントに関しても、上記2つの成分で探せばよいかと思います。

ご参考になれば幸いです。

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